| ■三留商店コラム〜店主執筆“四季の味”連作コラム等、美味しい食材のワンポイント |
| フルーツそのままの砂糖菓子 |
| ピエトロ・ロマネンゴ社のフルータ・カンディータ |
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| 「ピエトロ・ロマネンゴ社」は1780年、アントニオ・マリア・ロマネンゴ氏により、ジェノヴァのマッダレーナ通りに開店。最初は砂糖菓子も置く薬局に過ぎませんでしたが、二人の息子が本格的に菓子の製造を始めると、その品質、とくにフルーツキャンディが高く評価されるようになりました。 |
| 1857年には、王室の献上菓子としての栄を獲得。評判は瞬く間にジェノヴァからイタリア各地へ広がり、王女マルゲリータと従兄弟のウンベッロ公の結婚式にも、ピエトロのフルーツキャンディが供されたのです。 |
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| そのキャンディが、ここで紹介するフルータ・カンディータ。フルーツを加熱することもなく、そして真空パックや瓶詰にもせず、砂糖だけで保存する、砂糖漬けの最高傑作ともいうべき菓子です。口に含むと、フルーツ本来の味がしっかりと広がり、半生に近い食感が味わえるのは、ピエトロ社の高度な技術があってこそ。 |
| すべての工程は手作業で行われ、菓子職人はまず、それぞれのフルーツに応じて種や皮を取り除きます。次に、串のようなもので穴を開け、中にシロップが染み込みやすくするのです。 |
| とはいえ、中でシロップが固まっては台なしになります。シロップは、砂糖が36〜39パーセント含まれるものから、段階的に68〜70パーセントのものまで用意し、半日から一日ごとに濃度を上げるながら、約十五日間かけて徐々にフルーツに浸透させます。ちなみにシロップは、砂糖が68〜70パーセントより濃いと固まりやすく、それ以下だとフルーツが発酵してしまうとか。 |
| この段階を経て、仕上げのシロップを掛けるとようやく完成。こうして、水分を保った美しい砂糖菓子が誕生するという訳です。砂糖の薄絹を纏って飴色に輝くフルーツは、まさに貴婦人にふさわしいデザートといえます。 |
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| No.36/春号 |
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| 菓子を包むのは、気品溢れるブルーの上質紙。砂糖がヨーロッパに伝わった時、青い紙に包まれていた故事に因んでいます。また、店のシンボルはオリーブの枝をくわえる鳩。ナポレオンのイタリア侵攻の後、平和を願ってデザインされました。いずれもヨーロッパの歴史を受け継ぐ、名店の格式を偲ばせます。フルータ・カンディータのみならず伝統あるピエトロの菓子はヨーロッパ中で愛され、シュガーボンボンはあのオリエント急行でご用達です。 |
| アラブの船乗りによって、地中海沿岸のヨーロッパ諸国に伝えられた砂糖菓子。初期のものは、柑橘類の皮を砂糖に浸けて保存し、船乗りたちのビタミンCの補給に役立てられたといいます。やがて、王室にかかわる修道院や菓子職人が研究を積み、それぞれの国で進化発展を遂げ、このフルータ・カンディータのような極上品が生みだされたのです。 |
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(三留商店主人)
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